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【新リーダー対談】 隠岐島前で培ってきたものを開き、社会につながる挑戦を続ける

今年度、隠岐島前教育魅力化プロジェクトのリーダーに宮野準也が、隠岐國学習センターのセンター長に竹内俊博が、新たに着任しました。リーダー・センター長として何を大切にし、魅力化プロジェクトや学習センターをどうしていきたいのか。そして、これからどんな未来をどうつくっていきたいのか…。新リーダーの二人が、赤裸々に思いを語り合いました。

「魅力化構想」をリスペクトしながら、
自分たちの手で未来をつくっていく

宮野:リーダーになって半年が経ち、ようやく地に足がついてきた感じがしています。同時に、楽しくなってきました。

竹内:リーダーを引き継ぐプレッシャーは?

宮野:背負う部分はありましたね。魅力化プロジェクトとして10年以上積み上げてきたものを、僕の代でこわすわけにはいかんと…。

竹内:宮野さんは、魅力化構想(第3期隠岐島前教育魅力化構想/2019年3月)にこだわっていますよね。構想で描かれていた未来のストーリーを、学習センター内に貼ったり…。

宮野:今年度の魅力化プロジェクトの方針を考える際に、メンバーみんなで改めて、構想の内容とそれをつくるプロセスを振り返ったんですよね。当時のいろんな人の願いが込められた構想は、魅力化プロジェクトを進めるうえでとても大切なものだと再確認しました。一方で、この構想を進めるのは今のメンバーや生徒たちであるという意識も大切で、過去をリスペクトしながら「今」の人たちの手で未来をつくっていくんだ、という意志をもって取り組みたいと思っています。

構想を振り返る際に、過去の議事録などにも目を通したのですが、そこにはヒントがいっぱいありました。印象的だったのが「(この構想を、島前の教育について対話する)きっかけにしてほしい」と書かれていたこと。構想の共有が魅力化のメンバー間に閉じていたのが気になっていた僕は、この言葉にハッとして…。みんなに読んでもらうために、構想を読みやすいストーリー仕立てにしたりイラストを添えたりしたということにも立ち返り、「きっかけ」をつくるために、高校や学習センターや寮に貼ってみんなに見てもらうことにしたんです。学習センターでは、地域の人の目につきやすい土間にも貼りました。

学習センターで構想を読む高校生

竹内:貼ってある構想を見た生徒が、「なんですかこれ?」と興味をもってくれたり、「これはもうすでに実現してるよね」「これやりたいです!」とか言ってくれたりすると、うれしいですよね。一方で、「これ、ちゃんとやってるんすか?」などと突っ込んでくる生徒もいて、ドキッとしつつ、「キミも一緒にやるんだよ!」と返したりして(笑)。構想を話題にするシーンが圧倒的に増えた。僕らだけじゃなくて、生徒と一緒にやっていきたいですよね。

 

宮野:すでに生徒が、構想を進めるプロジェクトを独自に立ち上げていますよね。閉じたものを開いてみると、勝手に物事が進むこともあるんだと実感しました。自分たちがやるんだと一生懸命になることも大事だけど、自分たちだけでやろうとしなくてもいいんだな、みんなでやればいいんだなと。日々、学ばせてもらっています。

竹内:「大人の島留学」とか、構想に描いたことのいくつかはすでに実現していますしね。ビジョンって、たくさんの人で見た方が、実現に近づくんですよね。

生徒が自分の壁を越える経験を、その成長を、
みんなで一緒に喜べるシーンをつくりたい

中学生向け夏期講習の様子

 

宮野:学習センターでも、今年は新しい挑戦をしていますよね。印象的だったのが、夏休みに島前内の中学生に向けて行った夏期講習と、島前外の中学生を対象にしたオンライン夢ゼミ。特に、島前の学びを外に向けて開いたという意味で、オンライン夢ゼミは可能性が広がるなと思いました。

竹内:一昨年くらいから、学習センターでは、生徒一人ひとりに合わせた学びをつくることを大事にしてきました。多様な生徒がいるなかで、一人のスタッフが一人の生徒と向き合うのではなく、スタッフみんなで、さらには寮のハウスマスター、学校のコーディネーター、先生、地域の人、保護者ともつながって、生徒の情報を交換・共有するようにしています。学習センターだけに閉じてしまうと生徒の一面しか捉えられませんが、どの子にも「ここだったら輝ける、あるがままでいられる」という場や関係性があるはずです。いろんなところとつながる仕組みや体制をつくって、多様な生徒を一人たりとも置いていかない。そんな学習センターにしたいと思っています。

中学生向けオンライン夢ゼミの様子

僕らが生徒にかかわれるのは、生徒の人生の中で高校の3年間だけ。だからこそ、その後の人生の原体験となるような、自分の壁を越える経験をさせてあげたいんです。「自分はこんなもの」と思っているセルフイメージを超えて成長できた経験があれば、今後何をするにしても、「今度も乗り越えられる」と思えるはず。そう思えるかどうかで、生き方も変わってくると思うんです。

宮野:生徒がセルフイメージを超えるシーンって、具体的にはどんなことなんでしょう?

竹内:例えば、今年の夏期講習に来てくれた中学生が、100点を取れた瞬間とか。異性と話すのが苦手だった生徒が、異性のスタッフに話しかけられた瞬間とか。大事なのは、大人から見た成果の大きさじゃなくて、本人の中でどれくらいの越境体験だったかということ。その経験や成長をともに喜び合える存在でありたいし、いろんな人を巻き込んでみんなで一緒に喜べるシーンを一つでも多くつくりたい。そう思っています。

明確な未来を描いて進むだけが
リーダーのあり方じゃない

宮野:僕は、明確な未来を描いて、そこに向けてみんなを引っ張っていく…というのはあまり得意じゃないんです。前リーダーの大野さんがたいまつだとすると、僕はハロゲンヒーター(笑)。不器用だけど熱はめちゃくちゃあるタイプなので、その熱を感じて「一緒にやろう」と思ってくれる仲間と一緒に、泥臭くやっていくのが自分らしいかなと…。みんなに助けてもらいながらハロゲンしてます(笑)。

隠岐國学習センター長 竹内

竹内:確かに宮野さんはあっため系の泥臭担当大臣(笑)。魅力化プロジェクトのリーダーには、スピード感をもって突破していく強さだけじゃなく、工数と手間をかけてみんなで一緒に進んでいく泥臭い粘り強さも求められる。宮野さんには、そういう泥臭い強さがあると思います。

僕も同じく、大きな未来を描くのは得意ではありません。描いた未来から遡って今やるべきことを考えるバックキャスティングも大事だけど、僕自身は、今、目の前にいる生徒のことを考え続けた結果、どういう学習センターになっていくか…というフォーキャスト的な思考を大事にしたいなと。フォーキャストとバックキャストはどちらも必要で、それぞれの見方ができる人がチーム内にいることが大事なんじゃないかなと思います。

宮野:竹内さんはとても柔軟で守備範囲が広い一方で、生徒一人ひとりに対応することへのこだわり、スタッフと一緒にやることへのこだわりはすごく強いなと感じます。竹内さんがいろんな人の動きを察しつつフォローしているのを見てきましたが、今後、得意分野で突っ走るようなこともあるのかなと。そこは興味がありますね。

竹内:一人で突っ走るのは得意じゃないんですよね。テンション高く突っ走って、誰もついてこなかったらどうしようと心配になる(笑)。でも、その不安を振り切ってでも突っ走ろうというシーンが出てくるような気もしています。最近、「高校生のためにつくられた場」という枠を超えた何かをしたいなと思っていて。現状では、プロジェクトに取り組んでみんなの前でプレゼンして、そこがゴールだよね…となっている部分が若干あって、それを敏感に感じ取ってエネルギーを出しきれていない生徒がいると思うんです。やってみたいのが、高校生を置いてきぼりにするくらい大人が突っ走る夢ゼミ(笑)。怖いけど、やりたいですね。

僕らの挑戦が、誰かの希望になる
この手がつくる未来にワクワクしよう

竹内:宮野さんは、今後に向けてどんなことを考えているんですか?

宮野:3つあります。1つめは、魅力化プロジェクトのメンバーが、仕事にやりがいや楽しさをより感じられるようにしたい。2つめは、生徒の活動を本当の意味で地域に喜ばれるものにしたい。3つめは、島前高校を先生にとっても行きたい高校にしたい。そんなことを考えています。

特に2つめについては、もうちょっと深掘りしたいなと思っていて。生徒は地域活動や夢探究で地域の課題に取り組んできたものの、本当の地域の困りごとって、地域に入って地域の人や暮らしと接していないとわからないもの。現状では、生徒の「やりたい」気持ちの方が少し強いのかなと。もう少し言うと、本当に地域が求めていることを考えられているか、どこまでどっぷりと地域にかかわれているか。生徒が目的なく地域の人と過ごすような時間が、日常的にもっとあっていいと思うんです。

隠岐島前教育魅力化プロジェクトリーダー 宮野

竹内:わかりますね。島前では生徒が主体的にプロジェクトに取り組むようになっていて、それはこれまで積み重ねてきた成果なんだけども、プロジェクトをすること自体がやりたいことや目的になっている部分が少なからずある。地域の人と日常をいかに一緒に過ごすか、もうちょっとゆったりした時間のなかでデザインしたいなと思います。「地域に出る」という言葉にも違和感がありますし。そういう枠が壊れてくると、さらにおもしろくなりそうですよね。

宮野:地域活動は以前より圧倒的に増えていて、学校の授業でも学習センターでも寮でもプロジェクトがある。どの生徒にも活躍のチャンスがあるというのは魅力化プロジェクトの成果ですが、目的ありきになって学びが深いものになっていない気もしていて…。プロジェクトが目的化、ファッション化して、忙しくなるあまり余白をもって人とかかわることが減っていく可能性もあると感じるんですよね。一つのことにどっぷり浸かるという意味で、次の段階として「選択と集中」が求められるのかもしれないなと思っています。

竹内:宮野さんが1つめに挙げていたメンバーのやりがいや楽しさは、僕も同じく大事にしたいことです。スタッフみんなが輝ける学習センターにしたいなと。30歳前後のスタッフが多いので、成長した彼ら・彼女らにバトンをつなぎたいと思っています。スタッフの入れ替わりは当然あるので、人が変わっても持続する、より良くなっていく…という生態系をつくることが大事だと思っています。どうしたらそれができるか、考えていきたいですね。

宮野:僕の場合は、自分のため、地域のため、社会のためという3つの要素が重なって、この仕事にやりがいを感じています。特に、「社会につながる」という感覚を、リーダーになってから強く感じるようになりました。自分たち隠岐島前教育魅力化プロジェクトが挑戦を続けることが、他の地域や学校にとっての希望になっているんだ、社会にインパクトを与えているんだという実感と自負が、やりがいにつながっていると感じます。

竹内:僕のやりがいや楽しさの源は、自分たちがやっていることの先にある未来にワクワクできること、かな。あんなこともできそう、こんなこともできそうと、妄想が広がっています(笑)。

宮野:ワクワク、大事ですよね。ワクワク、ドキドキしながら、一緒に挑戦を続けていきましょう!

(取材・文 笹原風花)

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