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プロジェクトの背景

隠岐島前高等学校(島前高校)は、昭和33年、国への働きかけを通じて特例を受け、全国で始めて全日制分校となった、「僻遠の孤島島前から全国にその狼煙を挙げ国の法文を改正させた歴史ある全国唯一の高校である。」(二代目校長室崎美繁)
また、島前住民の高校教育にかける熱意により、地元負担で校舎を建て独立を果たした、まさに地域の学校であった。

しかし近年は、少子化の影響を受け入学者数は激減、各学年一クラスとなった。
今後も生徒数の減少が予想されているが、離島のため家から通学できる他の高校がないことにより、学校の統廃合による適正規模化が不可能であり、小規模校になっても存続させる必要がある。

島前地区の15歳人口の推移:島前地区の15歳の数は半分以下に(122人→51人)島前高校入学者数推移:入学者数は半分以下に(77人→33人)

本土の高校は入学時点で学力、進路別に生徒が選択して入学してくる。しかし、島前内には、高校が一つ、しかも各学年一クラスであるため、国公立大学進学希望の生徒から就職希望の生徒を、同一クラス内で指導しなければならない。また、学習塾や予備校など学校教育を補う教育機関がないため、学力差の激しい生徒の学習や多岐に渡る進路指導を、高校が一手に担っている。そのため、離島では、本土の大規模校以上に少人数指導、個別指導の必要性が高い。

しかし、学級数減に伴い、この3年間で7名の教員が減り、主事や実習教員、図書館司書の配置もなくなった。教員数削減の中でも、寮の宿日直や部活指導 など、大規模校以上の分量の校務分掌をこなしている。また専門外の科目指導も行っており、教員は常時多忙を極め、少人数指導、個別指導がしにくい状況である。教員数が少ないため、物理が履修できず、理系の大学進学は難しい。そのため「島で子どもを育てると、大学進学に不利」という考え方が根深くあり、(経済的にゆとりのある家庭の)大学進学を希望する生徒の多くは、中学を卒業した時点で、島を離れ本土の高校へと出て行く傾向がある。

昨年島前で行われた島根県総合発展計画の公聴会の場で、島前高校の生徒が本土との教育格差を嘆き、「悔しい」と訴えた。保護者や住民の中でも、「離島であっても、子どもたちの進路希望を叶えてあげられる教育環境を整えて欲しい」という声が高まっている。

今後、島前地区の生徒数が更に減っていく中で、これ以上島外の高校への流出率が高まれば、県の高校統廃合の基準である、「入学者数21人」を切る可能性も出てきている。(平成20年度の島前高校への入学者数は28人)

平成20年3月、「平成21年度以降の魅力と活力ある県立高校のあり方について」の答申が出され、その中で、「生徒数の推移によっては、存続の可否について検討しなければならない状況にあるため、今後の高校のあり方や生徒数の確保を含む学校活性化の方策について、各地域においても具体的な議論が望まれる」と明記された。 そのことを踏まえ、少子化で生徒数が減ってきていた島根県立隠岐島前高等学校について、島前三町村と島前高校が連携し、「隠岐島前高等学校の魅力化と永遠の発展の会(魅力化の会:三町村長・三町村議長・高校校長・三中学校長・PTA会長・OBOG会会長等で構成。事務局は島前高校)」を立ち上げ、島前内をはじめ全国からも生徒が集まる魅力と活力ある高校づくりを目指した構想の策定を進めてきた。

島前にある全中学校と高校の生徒・保護者・教員からのアンケートやヒアリング、各町村をまわっての住民、議会との意見交換会などを重ね、島前高校の魅力化構想が完成した。 今後は、この魅力化構想実現に向けて、県、島前高校、島前三町村等の関係機関が一丸となって、国への提言も含め、魅力と活力ある島前高校づくりを進めていった。

島前高校の教職員数の変化(校長・教頭は除く):この3年間で常務教員の4割が削減(19人→12人)。上記以外にも実習助手、主事、図書館司書もいなくなった。物理が履修できないため、理系進学は困難島前3中学校から島外の高校への流出率推移:平成20年度には島前の中学生の約55%が島外の高校へ流出

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